2017年、母が緊急搬送されたと聞いて私は病院に駆けつけました。
母は意識があり会話が可能でした。

しかしその声の大きいこと。
怒鳴っているかのような大声です。
それを指摘すると一瞬は小声になるのですが、またすぐに大声。

ああ、これ、耳が悪いんだな。と思いました。
耳の遠い人って、自分が聞こえないから、異様に大声になるじゃないですか? あれだと思いました。

ですが、それから2週間ほどで退院し、我が家に連れ帰る頃には、異常な大声はトーンダウンし、普通の音量になっていました。

我が家に来てから、会話は普通の音量で出来ましたが、彼女のテレビの音量はちょっとうるさいとは感じました。私だと音量20くらいでちょうどいいと思うところを母は30くらいで聞いている感じです。

「あんたテレビの音うるさくない?」

私が聞くと、

「実家に居たときはいつもじーさんが45くらいにしてた。うるさかった」

との答え。


…そうか。耳の遠い人と一つ屋根の下に居たから、その大音量に日夜曝露されて、感覚が麻痺してたのか…。


ひと月、ふた月と経つうちに、母はテレビの音量も次第に低くなっていき、現在は私が聞いてもうるさく感じない程度の音量に落ち着きました。