やっぱり介護の沙汰も金次第
施設からでなく自宅からの入院だった人も、再び自宅に帰れる方は少なく、大抵の方は特養なりグループホームなり、行ける施設を探して退院していくことになります。
高齢の女性の患者さんのケースでした。
元々精神疾患があり、在宅で旦那様がお薬の管理等世話を長年してきたようでした。
その旦那様が亡くなってしまい、彼女はみてくれる人が居なくなり、入院してきたのでした。
とても依存的で、自分に注目されていないと気が済まず、職員の気を引くために深夜でも大声で何度も叫ぶ等の迷惑行為がありました。
また二面性があり、職員の前ではしおらしくしているが、職員の目が無いと思うと、自分より弱い高齢者に暴言を吐いたりもしていました。
…一言で言うと、「とっても性格の悪い」おばあちゃまでした。
でもそういう病院ですから。
彼女と同じくらい性格の悪いおじいちゃまおばあちゃまはごろごろしています。
でも他のおじいちゃまおばあちゃまは、どんどん行ける施設が決まって退院していきます。
彼女は残ります。
そう、介護の沙汰も金次第。
彼女はお金がありません。彼女の少ない年金で行ける施設をワーカーさんが一生懸命探すのですが…無いのです。
お金が無いので、彼女はおやつの時間お茶だけです。
お金のある方で且つ糖尿等の身体的制約の無い方は、おやつの時間にアイスとかプリンとか食べています。
「あたしは、おやつ無いの?」
いつもすねていました。
ちょっと可哀想でした。
彼女に転機が訪れたのは3ヶ月後でした。
旦那様が亡くなったあとも、ご自宅はそのままになっていました。
着替えや必要物品を探すために、ワーカーさんは役所の方などと何度か家に上がったことがあったそうですが、
「昨日の訪問で、ものすごいものを見つけました!」
と言うのです。
それはタンスの奥の奥に隠されていた預金通帳でした。
恐らくは旦那様が奥様のためにとこっそり貯めていたものだったのでしょう。
400万ほどの金額が入っていたそうです。
あっという間に彼女は施設が決まり、退院していきました。
きっと今ではおやつの時間にアイスやプリンも食べさせてもらっているでしょう。
本当に嫌になるけれど。
これが現実。
介護の沙汰は金次第なのです。
介護の沙汰は金次第なのです。
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