警察犬や盲導犬は働いています。
でも普通のご家庭で飼われているペットも働いています。

ペットを買うとき或いは貰ったり拾ったりするとき、人はペットになにかを期待しています。

子供の遊び相手になって欲しいとか、先住ペットの遊び相手になって欲しいとか、仕事の疲れやストレスをもふもふで癒やして欲しいとか、年寄りの相手をして欲しいとか。

ペットは仕事を選べません。
「年寄りの相手は退屈だわー、俺元気ながきんちょとのところに買われれば良かったなあ」
「子供の家はうるさくて嫌だにゃん。落ち着いたお婆ちゃんの家に貰われれば良かったにゃあ」
…とか思ってるかもしれません。
「この職場、自分に合ってない」と思っても自己都合退職も転職も出来ません。

先日我が家にちびにゃんが来ました。
看護計画風に書くならば
「老婆の、老犬と老夫が居なくなり心身の余力が出来た結果生じたと思われる孤独感およびそこから派生すると思われる漠然とした不安感・焦燥感の軽減」
がちびにゃん氏に与えられたミッションです。

ちびにゃん氏は、なかなかトイレを覚えず布団の上で粗相をしたり、テーブルの上に飛び乗って散らかしたり、ティッシュを箱から全部出したり、老婆の背中で登山練習をしたり、早朝から鳴いて食事の催促をしたり、精力的に仕事をしています。
「全くもう、お前は何をしてるの!」老婆はちびにゃん氏のしつけと世話に追われています。

「どこが痛いわけでも苦しくも痒くもないけど、じっとしていると不安でいられなくなる。寝ようと思っても横になってじっとしてられない(;ω;)」
ちびにゃん氏が着任する前にしばしば聞かれた老婆の主訴は、今は聞かれなくなりました。

ちびにゃん氏は短い足で今日も仕事を頑張っています。
…出来れば、氏が「この職場、自分結構合っとるわ」と思ってくれていればいいと思う。


※老婆のpトイレの上で束の間の休憩を取るちびにゃん氏。