押し入れに後生大事にしまい込まれていた段ボール。
中には立派なケース。
ケースの中身は一体何なのか。



――これは。レーザーディスクというやつですね。
ディスクがあっても、今プレーヤーがあるご家庭がどれほどあるか。

9,800円という値段が見えます。
そんなに高額なものなのか。しかも複数枚。
もったいない。
色気も素っ気も無い感想ですが、もったいないとしか言葉が出てこない。




分不相応に、出始めの高価な家電だの、高機能なカメラや双眼鏡を買い込むのも腹立ちますが、何より私が許せないしそもそも理解が出来ないのが、父がそうして買った品々を、押し入れの奥や戸棚の奥にしまい込んであるという事実です。


――ものは使うためにあると思う。
使わないものに、何の意味と価値が?


実家ゴミ屋敷を片付けていて、私が殺伐とした気分になるのは、例えばぼろぼろになった毛布とか、使い込んで結果駄目になってゴミになったゴミが殆ど無いからです。実家のゴミはほぼ全て、『使っても貰えずにしまい込まれてゴミとなった』品たちです。


もう物を擬人化するような感受性豊かなお年頃ではありませんが。
それでも実家に行くと、物たちの無念の思い、怨嗟が渦巻いているような気がします。