自分は貧乏&貧乏性なので、どっちかというと無駄が嫌いな合理派ですが、でも
「必要な無駄」
って言うのはあると思ってます。

働きアリの何割かは常に怠けていると言いますが、あれも必要があってそうなってるんだと思うんですよ。
全員が常に真面目にフル稼動してたら、不測の事態が起きた時に対応する人手いやアリ手が無いですもんね。



その昔、ドラクエ4というゲームをプレイしました。
とても有名なゲームなのでご存じの方も多いと思いますが、一応ざっくり説明しますと、8人の仲間が助け合って謎を解き敵を倒してストーリーを進める、いわゆるRPGです。
8人のうち4人は馬車で待機していて、馬車の外に居る4人だけが敵と戦闘します。
スタメンの4人がケガをしたら、プレイヤーが手動で馬車内の待機メンバーと交代させることもできますし、スタメンに欠員が出来る(敵にやられて死ぬ)と、馬車内に交替出来るメンバーが居れば自動でそのメンバーが飛び出てくるシステムでした。

8人の仲間には勇者や戦士、魔法使いなどが居ます。
それぞれ戦闘に役立つ個性や特技を持っています。
その8人の中に1人だけ異色なキャラクターが居ました。
名をトルネコと言います。職業は商人です。
商人なので回復魔法も攻撃特技も使えません。
世界中を重い荷をしょって行商していたので体力(HP)だけは高いですけど、それだけです。
キャラクター的にはとてもいいキャラで大好きでしたけど。
前半はともかく後半になって敵が強くなってくると、ちょっと出る幕がないというか、殆ど馬車の中の人になってしまいました。

ラスボス戦の時も、当然トルネコさんは馬車の中でした。
ドラクエは戦闘難易度が高いゲームではないですが、さすがにラスボス戦ともなると、短時間では倒せず、持久戦と言うか消耗戦になります。
味方がケガをしたら、回復魔法やアイテムで回復し、味方が死んだら、復活魔法やアイテムで復活させ、戦い続けます。
魔法を使うためのMPと回復アイテムが尽きるとじり貧です。
スタメン4人のうち3人が倒れ、馬車の待機組から3人が外に出ました。馬車に残っているのはトルネコだけでした。
戦闘していた4人は頑張って頑張って、ラスボスのHPをあと僅かというところまで削ったのですが、そこで全体攻撃を受けて全滅してしまいました。

ばしゃから とるねこが とびだした!

トルネコのへっぽこ商人パンチで、ラスボスは倒れました。
ドラクエは、味方が1人でも残っていれば、勝利となります。

ちゃららら~ っちゃっちゃら~~~♪

ラスボスを倒したので、ゲームクリアとなり、感動のエンディングになだれ込みます。

トルネコが飛び出した時、ラスボスのHPの残りが5だったのか3だったのか分かりませんけど、本当にあと少しだったと思う。
それでもトルネコが居なかったら負けだった。
トルネコが居たから勝てた。

ゲーム内では勿論そんな描写はないですけど、あの戦闘のあとトルネコさんは大変だったと思うんですよ。
7人の仲間の棺桶を馬車に積んで、積みきれない分はうしろに引っ張って、最寄りの教会まで運んで、全員蘇生させてもらって。
トルネコさんは便利な瞬間移動の呪文使えませんから、ラスボスとの戦闘地点から最寄りの人里までだって結構距離があったんじゃないでしょうか。



…あの時に、私は体感した気がします。
「必要な無駄はある」
んだなって。