コロナの影響で、キャンピングカーと山がよく売れているらしいです。
密にならずに家族や身内だけでキャンプを楽しもうという発想のようです。
キャンピングカーは高額ですが、山は今なら場所によっては千坪10万円とか、もう幾らでも安く入手出来ると思います。

「整備されたキャンプ場では味わえないサバイバルを体験したい」
…という目的の方なら、良いでしょう。
でも、
「狭い山林なら持っていても固定資産税も掛からないし、何度もキャンプ場の使用料払うよりお得」
と思って山を買おうとしている人には、
ちょっと待って!!!!!
と声を大にして言いたい。実際山林を持つものとして。



↑昨日、愛用の三角ホーが壊れました。
我が家の竹薮(地目山林)は、面積は80坪程度です。
自分が維持管理を始めたのが、2019年の2月です。
今が2020年10月なので、まだ2年経っていません。

たった80坪と2年弱バトルっているだけなんですよ?
しかしその間に、何本の農具や工具が壊れたことか!
鋸、鎌、鍬…数えきれません。
買い足した農具や工具、数えきれません。
履き潰した靴、引っかけて破れた服、数えきれません。
掘っ立てハウス解体時に壊れた眼鏡…眼鏡だけで済んで目は無事で良かったと言うべきでしょうか。
夏場の虫除け剤と蚊取り線香。何度買い足したか分かりません。
そして勿論、自宅から車で行くわけですからガソリン代が掛かります。
あと山道を走るので、車が傷みます。
タイヤはすぐ減るし、車の側面は、道の左右から張りだした枝葉に当るので傷だらけです。
この2年弱の間に、2回パンクもしています。

と言うわけで、山林を所持していると、固定資産税は掛からなかったとしても、維持管理にはお金が掛かるのです!
そんなに大した金額では無いと思いますか? でもそれは、山林を持っていなかったら掛からなかった金額なのは確かです。
そして、1度払えばそれで済むという種類の出費ではありません。
山林を所持し続ける間、細々とですがずーっと掛かるお金です。


それから。
お金とともに労力を、山林は所持している間ずーっと要求し続けます。

それ用に整備されたキャンプ場と、ただの山は違います。
キャンプ場がどんなに野趣溢れていても、それは整備された野趣です。
初夏から秋にかけて、こまめに草木を伐採しなければ、山はあっという間に緑に埋もれます。その埋もれっぷりは多分都会の人が想像する埋もれっぷりとは違います。
草に埋もれていれば刈ればいーじゃん。と思うかもしれません。
しかし刈るために踏み込む余地すらないほど枝葉や蔓が絡み合うのです。
ヤブ蚊居ます。
ブヨも居ます。
芋虫、毛虫、居ます。
噛んでくる蟻、居ます。
ミミズ、トカゲ、ヘビ、居ます。
山の深さによっては、イノシシやサルも居るかもしれません。
ヒルやマダニも居るかもしれません。



あと山林所有にしばしば伴う罠として。
以下のようなシチュエーションがあります。


↓山1個丸ごと自分のものというケースならいいですが、山の一部を所有のケースだと、自分の土地に行くまでの間に、他の人の土地を通ります。



↑他の人がきちんと自分の所有地の維持管理をしてくれるとは限りません。
自分の所をどれだけきれいに草刈りしても、周囲が草木ボーボーだったら、そちらから害虫や花粉がやって来ます。
それ以前に道に覆い被さって生える草木に阻まれて、自分の土地まで辿り着けないという最悪パターンも…。
自分のでもない土地の草まで刈らなければならないのは、理不尽で腹も立ちましょうが、草ならまだしも、樹木だったらどうですか?
よその人の木です。勝手に切ったらあとで文句を言われるかもしれません。…と思うと、なかなか切ることも出来ないでしょう。

逆もあり得ます。
自分の所有地が道の途中で、道の先に他の人の土地がある場合。
自分がもうキャンプに興味を無くし、その土地に行く必要が無くなったとしても。
定期的に草刈り等の維持管理をしないと、道を塞ぎ、他の人の通行の妨げになってしまいます。



…いかがでしょうか?
何かものを所有すると言うことは、付帯して維持管理の手間や費用が発生します。
それは不動産に限ったことではなく、車でも服でも絵画でも宝石でも、なんでもそうなんですけど、不動産は「捨てることが出来ません」。
・気に入らなくなった
・不要になった
・維持費が大変
等々の理由で手放したいと思っても、服のように捨てることが出来ません。
買ってくれる人、相続してくれる人が居なければ、延々と所有し続けるしかありません。

今とてもお安い山林。
買うのは簡単ですが、でも購入の前に、デメリットとメリットを秤に掛けて、じっくりねっちり検討されることを、強く強くおすすめします、ごく狭い土地ですが山林所有者に不本意ながらなってしまった者として。