はからずも介護離職しましたが、定年退職後に車中泊しながら日本一周するのが夢でした。

という話を老母にしたら、

老母「わしも行く!(。・ω・。)」

ふぁ…っ?!

老母「そうじゃのう、北海道に行ってみたいのう( ´▽`)」

行く気満々か、婆。

そして北海道か。いきなりハードル高いな。
九州と四国は車で行けますが。
北海道はフェリーに乗るしかないんやぞ、婆、分かって言ってるんか?

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気を取り直して。
タイトルの
『高齢者を連れての日本一周車中泊の旅は可能か?』
について、ちょっと真面目に考えてみたいと思います。



まず、私が日本一周に旅立てるとしたら、パターンは3つあります。

1、婆と猫を見送ってから独りで旅立つ
これが1番簡単且つ現実的な路線だと考えていました。
但し婆と猫が思いの外長命の場合、見送った時点で既に私が車の運転が危ぶまれる高齢になっている可能性はあります。
その場合は諦めようと思っていました。

2、婆を猫連れ可の施設に入れて、私1人で旅立つ
都会はどうか知りませんが、私の住んでいる地方では、ペット同伴可の施設は少ないし、あったとしてもとても高額です。
しかし金銭面以上に問題なのは、このケースだと1のように本当に自由な気分では旅が出来ない点です。
生きている婆と猫を残して旅立っているわけですから、2人に何かあったら当然戻ってこなければならない、そういういわばヒモ付きでの出発になります。それで心置きなく旅が楽しめるだろうか? 否、と思うのです。

3、婆と猫を連れて旅立つ
このパターンは正直考えてなかったです。ちょっと考えただけでも困難なのが予測できましたから。


まず、自分1人だったら、車は軽バンでOKだったと思います。
むしろ小回りの利く軽自動車のほうが、ナビに変な道に誘い込まれても安心です。
自分は車内で料理したいわけでもないし、キャンプ場でキャンプがしたいわけでもないので、必要な荷物も多くないですしね。

しかし。
猫と婆を連れて行くとなると。
全然話が違ってきます。
まず婆には車椅子を積むスペースの他に、常設の寝床とすぐに使えるトイレのためのスペースが必要です。
猫にも猫トイレを置くスペースが必要です。
2人と1匹になれば、出るゴミの量もそれなりに多くなりますから、ゴミを置いても不衛生にならないためのスペースも必要です。
そして猫には複数の隠れ場所や寝場所が必要だし、ある程度高低差のある運動スペースも必要だし…

…と考えていくと、軽箱では到底収まりません。

キャブコンやハイエースのスーパーロングはちょっと取り回せる自信がありません。ハイエースのミドルもちょっと。

ハイエースの標準ボディでぎりぎりセーフ、タウンエースでセーフって感じですが、常設の広いベッドとトイレルームを確保出来るのはやっぱりスーパーロングでないと難しい部分があります。

ハイエースの標準ボディで常設ベッドとトイレルームがあるタイプのバンコンは、私が調べた限りOMCさんの『ナロー銀河』のみです。
しかし『ナロー銀河』はベッドが2段ベッドです。そしてトイレルームがあるけど狭い。
高齢な老母にあの狭いトイレの出入りは出来るだろうか?
天井の低い2段ベッドで出入りは出来るだろうか?
私が介助出来るだけのスペースが確保出来るだろうか?
…そう考えていくと、悩ましいです。


スパロンならレクビィさんの『PlaceSL』あたりは、トイレルームもベッドも広く、婆も快適に過ごせそうですが、何せスパロン…全長538㎝…運転できる気がこれっぽっちもしません。(^^;)
いや運転できたとしても、そもそも700万超えという価格が問題なんですけどね。
そんなこと言ったらさっきの『ナロー銀河』だって500万ですけどね。(^^;)

ビルダーさんが作ったバンコンはみんなそんなような値段です。
当然キャンピングカーとして作られていない生のままのハイエースやタウンエースを買えばもっと安いです。

でも婆と猫を連れて行くと言うことは、旅先で買物等で私が出たあと2人で車内にお留守番のパターンは結構あり得ます。
だからエンジンを切った状態でも冷房暖房換気が出来る設備が絶対必要です。
FFヒーターとか、サブバッテリーとか、インバータとか、走行充電システムとか、ソーラー充電とか…
私は車にも電気にも疎いので、それらを自力で組み込むのは無理です。
だから結局ビルダーさんが作ってくれたものを買うという選択肢しかありません。

自分1人で旅立つなら、軽箱100万円。
婆と猫を連れて行くなら、バンコン700万円。

いやもう、今は「もし連れて行ったら」の仮定の話なので、お金のことは一旦置きましょう。
ハイエースのバンコン燃費6㎞/1Lくらいらしいけど。
軽箱に比べると高速料もフェリー代も各種税金保険料も馬鹿高いけど。



お金のことはさておいて。
私の運転技術もさておいて。
スパロンのバンコンで旅立ったとしましょう。

それでも問題は残る。

例えば婆の風呂をどうするか?
日本中に入浴施設は幾らでもありますけど、微妙に体が不自由な高齢者が入れるところは限られる。気がする。
道程に階段や段差が複数あるともうアウトです。

観光地に立ち寄っても、例えば滝とか鍾乳洞とか山の上の展望台とか、車椅子で行けない場所では、車内でお留守番しているしかないでしょう。
と言うか日本一周の間の殆どを、婆は車内で過ごすことになるのではないか?
それで婆は楽しいのか?

そして短期記憶力が日々衰えている婆は。
きっと日本一周して帰ってきても、間もなく忘れるんでしょうそのことを。



どんなに快適なバンコンを選んだとしても、車中泊生活は、普通の定住生活より制約があります。
その制約、不便さを補えるほど、車中泊旅行が高齢者と猫にとって楽しくて有意義なものなのか?
そこがそもそも疑問になってきます。
自ら「行きたい」と言った婆はともかく、猫なんてとんだとばっちりのようなものですよね。

車で毎日揺られる生活は、定住生活より、猫と婆の寿命を縮めるかもしれません。そうでないかもしれません。分かりません。




現時点での結論:
高齢者を連れての日本一周車中泊の旅は不可能ではない。
ないけど、金銭面、心情面、物理面…様々な面から、解決すべき問題が山積である。