1969年7月、アポロ月面着陸。

年がばれますが、私はこのニュースをリアルタイムで見ました。

そして、
今後何歳まで自分が生きようとも、これ以上心を揺さぶるニュースはないだろう
と、思いました。
だって、人類が初めて地球以外の星に降り立ったんですよ?
次には火星に降り立とうが、他の恒星系の惑星に降り立とうが、「初の」という冠をかぶれるのはこのアポロの月面着陸だけですよ?




…そう思ったんですけどね。
20年後に、私の個人的最大ニュースは更新されます。





1989年11月。ベルリンの壁崩壊。

人類史の上では、先のアポロの月着陸よりは小さなニュースかもしれませんが。
私個人的には、このベルリンの壁崩壊から、その後怒濤のように続くソ連型社会主義の崩壊が、今まで生きてきた中で最も衝撃的なニュースでした。


まさか自分が生きている時代に、2つに分かれてた国が1つになるとか、米ソの2第巨頭体勢が崩れるとか、ソ連がロシアになるとか…考えてもいなかったです。

過去にロシアが滅んでソ連になったとか。ドイツが戦争で東西に分かれたとか。
随が滅んで唐が出来たとか、ギリシャが滅んでローマになったとか。
学校で習って知ってはいましたよ。
でも私はお馬鹿だったので、「学校で習ったこと」と「現実」が、私の中では全くリンクしていなかったのです。

私の中での「歴史」というものは、学校の教科書や年表のなかだけに存在する、文字の羅列のかたちで格納された過去でした。

そして、年表では随と唐の間、江戸と明治の間は縦線でかっきり区切られています。
年表の中でしか歴史を知らない私の脳内では、ギリシャが滅ぶとギリシャの建物や風俗は全て刷新され、突然ローマ人やローマの建物や風俗がニョキニョキ生えてくるかのように、きれいにかっきり入れ替わるもののような、錯覚に陥っておりました。



そんなわけはなかった。
東西ドイツがくっついて1つのドイツになったからと言って。
ソ連がロシアになったからと言って。
そこに暮らす人々も、建物も、言語も、習俗も、いきなり変わるわけがなかったのです。
ああ、そうだったのか。
ギリシャがローマになったときも、江戸が明治になったときも、こういう感じだったのか。
過去はぶった切られて教科書の中にあるものじゃなくて、現実と確かに連続しているものだったのか。

…ということをお馬鹿な私が体感したニュース、それがベルリンの壁崩壊のニュースなのでした。