介護離職してもう数年になりますが、以前私は精神科の病院で看護師をしていました。

精神科病棟と言っても、患者さんが四六時中暴れたり叫んだりしているわけではありませんが、普通の病院や一般のオフィスビルやショッピングセンターなんかよりは、暴れる人の出現頻度は多いでしょうね。

暴力の対象が他の患者さんや医療スタッフであることもあるし、そこらの壁や床といった物であることもあります。

あとは、暴力を振るうつもりで無くても、足がもつれて転んで壁に頭を…みたいなケースもままあります。

精神科の入院患者さんは、かなり強い薬を処方されていることが多いので、足がふらついたりもつれたりして転びやすいのです。
よく「薬に体を取られる」なんて言い方をします。

「ひどい、そんな強い薬を使うなよ!」
と思うかもしれません。
もっともです。
精神科のお薬については、またあらためて記事にしたいと思います。
今回は壁の話に戻りますね。 


転んだ患者さんの頭が当たった、あるいは突然激高した患者さんが拳で殴った壁が、見事にぼこんと凹んだのを最初見た時は、患者さんの拳や頭は大丈夫だったのかと思いました。
師長が教えてくれました。

「うちの病院の壁はわざと凹みやすく出来てるんだよ」

患者さんの体を傷つけにくいように、わざとそうしてあるのだそうです。
(勿論それでも念のため患者さんはレントゲンやCTで、ケガの有無を確認しますが。)

多分、私の勤めていた病院だけでなく、精神科の病院や、認知症の人の病棟や施設などは、同じような配慮がなされているものと思います。

他には、
ベッド回りに目隠しのカーテンがあるのですが、そのカーテンレールはわざと外れやすくなっていたり、(首つり防止のため)、
特に病状の重い患者さんの入る部屋には、そもそもカーテンが無かったり、便器が金属製だったり、ベッドすら入れずに床にマットを敷いたりします。(ベッドも自分や他者を傷つける凶器になり得るため。)