↑マイ老母。
80才を越えています。
最近、食べながら喋ると良く噎せます。
わし「食べながら喋らないようにしようね」
老母「うん、分かったよ。もぐもぐ…全く今の政治家は…がはっ!げはっ!」
分かったよと言ったそばから喋り食べ&噎せてます。

老人の知能レベルの低下の程度を一律に語ることはもちろんできないでしょうが、うちの老母に限って言えば、うちに来た当初で小学校1~2年レベル、現在では幼稚園児レベルに思えます。

今日の食事時も。
老母「もぐもぐ…加山雄三は誤嚥性肺炎だって。若いつもりでいたって駄目だよねえ…がはっ!げはっ!」
わし「人のこと言えねえべさ!(゚Д゚)」

…看護学生時代。
「病人や老人介護において、出来ないことではなく出来ることにスポットを当てて見るようにしましょう」
と習いました。
おー、なるほどとその時は思いました。
いえ、今でもそれは正論だとは思う。但し同時に思ってしまう。ああ、机上の理想論だなあ、と。

机上のおきれいな理想論は、実際に介護している人の共感を得るどころか、疲れてささくれた心を更に殺伐とさせるのではないだろうか。

老母の介護度は今、〈要支援2〉です。これは7段階の軽い方から2番目です。
勿論この介護度には、常時介護できる人と同居しているという状況が織り込まれていると思いますので、私が居なくて老母が独居と言うことになれば、1段階くらいは上がる可能性はあります。

しかし、1段上がったとしても〈要介護1〉。

世間には〈老々介護〉なるものが在ります。
〈要介護5〉の夫を〈要介護1〉の妻が介護している…そんな話はざらに聞きます。

しかし、本来は無理なことだと思う。そんなの遅かれ早かれ絶対破綻する。
かつて、老母は〈要介護2〉の夫を家で看ていた。その時老母自身は介護申請をしてなかった。だから書類上の分類なら、
『要介護2の夫を、健常な妻が看ていた』
形になる。
でも破綻した。
老母は倒れ、離れて暮らしていた私のもとに連絡が来ました。
繰り返しますが、〈老々介護〉なんてそもそも無理。
自分のことが精一杯な人が、他者の面倒がみれるわけがありません。

ちなみに〈要支援2〉とは、どういう感じかというと…。
・セッティングすればご飯は一応一人で食べられる。
ボロボロこぼすけど。こぼしたら拾わないけど。後片付けはしないけど。
・服は、時間を掛ければ一人で着脱できる。
脱いだ服はその場に置きっぱなしで洗濯機には入れない。
・洗濯機は使えない。こちらが言えば、自分の洗濯物を畳むことは出来る
一応一人で入浴できる。洗い残し等、手伝いが必要な場合はある。
風呂の準備や、入浴後の掃除はしない。
薬の自己管理をしている。しょっちゅう飲み忘れる。でも私が管理するというと、頑なに拒否。
家の中は杖や歩行器等無しで歩いて移動。外出は車椅子。
排泄は一応自立。でもしょっちゅう便器がびしょびしょ。汚しても気付かない。気付いても自分では掃除はしない。
紙パンツは自分で履き替えられるけど、汚れた紙パンツのゴミ出しには行けない

いかがでしょうか?
介護してる私に言わせると「何一つ一人で出来てないやん!」
なのですが、前後の準備や片付けを一切考えなければ確かに一応一人で『食べる』『排泄する』『入浴する』等が出来るため、老母は自分では『あたし出来る』と思っています。
介護者と被介護者の間で『出来る』の解釈にズレがあるのです。

汚れた服は床に脱ぎ散らかして、タンスからきれいなのを出して着ますか?
タンスが空になったらどうしますか?
また床の汚れ物を拾って着ますか?
お風呂は1回入ったらげてげてですよ?
次に入るときはどうしますか?
そのまま入りますか? それとももうお風呂には入らない?

…老母が自立しているとは、とても言えないと思います。
けれど。
じゃあ、私は自立しているのか?
と考えると、違うと思うのです。
確かに私は、自分でお風呂掃除も洗濯もゴミ出しも買物も出来る。
でもそれをもって『自立している』と言ってしまっていいのか?
私は当たり前のように服を着ていますが、自分で服は作れません。機も織れませんし、針や糸も作れません。
自分で野菜も作れないし、魚も捕れません。ましてや牛や豚なんて捕獲できっこありません。
車が故障しても自分では直せません。油田から油を採ってくることも出来ません。
電気やガスや水道も下水も。
当たり前のように使ってますけど、自分で作ったり維持管理したりしてるわけじゃありません。

『何をもって自立というか、どこまで出来たら自立というか』
の解釈によると思うんですけど、突き詰めていくと、結局、みんな寄りかかりあって支え合って生きてるんじゃないのかなと思ったりします。


そう思うと、老母にもあまり腹が立たなくなる気が…
老母「もぐもぐ…全く日本の政治家は老害がはびこって…がはっ、げはっ!」
…いや、やっぱりちょっと腹は立つわ…。