※この画像はパブリックドメインのものをお借りしました



退職して久しいですが、以前精神科の病院に勤めておりました。

体の病院でも、ある程度の規模の病院ならば、緊急放送用の暗号は必ずあると思います。
でも精神科病院の場合、更に別の暗号放送があります。



そもそも暗号放送とか緊急コードとかなんやねん? 
と思う方もいらっしゃるかもしれません。

よくデパートやスーパーなどで、
「万引き常習者が来たから売り場の担当者は気をつけろよ!」
とか
「質の悪いクレーマーがまた来てるよ!」
等の、従業員が共有したいけどお客さんには聞かせたくない情報があるときに、流す音楽が決まっているとか、聞いたことはありませんか?

「総務の田中さん、第4バックヤードまでお願いします」
みたいな、お客さんからは一見普通の業務連絡に聞こえる放送の形をとる時もあるでしょう。

この場合、実は総務の田中さんという従業員は居ないとか、バックヤードは第3までしか無いとかで、従業員にはそれが緊急放送だと分かる仕組みです。
第4バックヤードなら万引き注意、第5バックヤードなら本社の視察が来てる気をつけろ…とかそんな感じで、暗号になっているのですね。

今はスーパーやデパートではインカムを付けていることが多いので、こういう暗号放送の必要性も減ってきているかもしれません。
でも病院では、聴診器を使ったりするのでインカムを付けっぱなしは無理なので、まだ暗号放送が現役です。



病院の緊急暗号放送は、要するに言いたいことは
「むっちゃ大変な事態になってる! 手の空いてる医療スタッフは援軍に来てー!!」
…ということです。

例えば、地下鉄サリンのような事件が起きて、なんの毒にやられたのか分からない大量の患者さんが救急搬送されてきた、とか、
1つの病棟の患者さんが全員いきなり急変したとか、
まあたとえは極端ですが、

「人手(主にドクター)が欲しいよおおお!」

ということですね。



精神科病院の場合は、この普通の「ドクター集まってえええ!」暗号放送もありますが、それとは別に

「人手(主に男手)欲しいよおおお!」

の暗号放送があります。

入院病棟で、あるいは外来診察室で、あるいは外来待合室で、
「暴れている患者さんがいる。近くの職員だけでは応対しきれない。援軍頼む!」
という暗号放送です。

精神科ならではの暗号放送だと思います。
私が在職していたころは、月に何度かこの放送を耳にすることがありました。
自分がこの放送を掛けたことは、1度だけあります。


それも今となってはいい思い出…なんてことはもちろんなく、あの緊急放送が流れた時の緊迫感は、できれば忘れたいです。(^^;)