10月に入ってからずっと、実家汚屋敷の汚庭の手入れに日参しております。

ある日、いつものようにBBAがよぼよぼしながら汚庭で繁茂した草木とバトルっておりますと、

「こんにちはー」

と、低い塀越しに道路から声を掛けてきた人がいました。
さわやかな見た目のお兄さんです。



お兄さんの話を要約すると下記のような感じです。

近所で工事をやっているものである。
お宅の屋根が工事をしていたら見下ろせた。
屋根材がはがれかかっていて気になった。
このままだと剥がれて雨漏りの危険もある。
釘1本打つだけでも応急処置にはなると思う。
工事で来ている身なので道具も脚立も持っている。
釘1本くらいなら無料でやります。たまたま目に付いちゃったし。
何なら今やりましょうか?


最初、私はこの話を信じました。

汚屋敷は築年数も行っております。
あちこちくたびれています。
屋根だって、支障が出ていてもおかしくありません。

そして繰り返しますが、お兄さんの見た目はさわやかです。
チャラい系のさわやかさではありません。
たとえて言うなら、地方都市で親の家業を継いで頑張ってます、地域の消防団活動も頑張ってます、みたいな朴訥系のさわやかさです。
要するに、
「この人が詐欺師だったら、世の中の人間みんな詐欺師や!」
というくらいのタイプの人です。


しかし私はその時現在進行形で汚庭の草木とバトルっておりました。
シングルタスク頭なので、1度に汚庭と汚屋根のことは考えられません。
なのでお兄さんにその通りに答えました。

「ご親切にありがとうございます。
でも今は雑草バトルで手も頭もいっぱいなのです。
もしかしたら後日改めてお願いすることになるかもしれませんが、とりあえず今日は結構です」

刈草と剪定枝の山に埋もれながら、私がそう言うと、お兄さんは

「そうですよねー」

と笑って去っていきました。




帰宅後、私はネットで
「屋根」「詐欺」で検索しました。
その時点でも、あのさわやかなお兄さんが詐欺師だとは思えない自分もいたのですが、
考えてみたら詐欺師はみんなさわやかなのかもしれません。見るからに怪しかったら誰も引っかからないでしょうし。
そして、認めたくはありませんが、自分はBBAです。詐欺師からしたらきっと狙い目です。
無料で、というのも引っかかる。世の中ただより高いものはないと言いますし。



検索の結果は、
お兄さんの一連のセリフは、詐欺事例とそっくりでした。
屋根屋根詐欺にもマニュアルのようなものがあるのかもしれません。

それでもまだ、完全に詐欺だとも決めつけられないので。
本当に近所で工事をしているのなら、また汚屋敷の前を通ることもあるだろうから、そうしたらとりあえず名刺を頂いておこう、それで社名が分かればまたネットで評判を調べて、悪くなければ正式に工事を頼んでもいい。

…と思っていましたが、それ以降お兄さんは姿を見せることはありませんでした。近所に工事に来ているはずなのに。
その事実をもって、詐欺だと確信いたしました。


この話を友人にしたら、
「うちには屋根屋根詐欺も白アリ詐欺も来たよ」
と言っていました。
世知辛い時代になりました。
皆様もどうかお気を付けください。




↑現在バトル中のミカンの剪定枝。とげとげが痛い。